5時からサラリーマン(男)の生態

ジャンルはテキトウ、内容もテキトウ。思いついたまま書いています。

絶歌、淳、淳 それからを読んで分かったこと(感想)

神戸連続児童殺傷事件の加害者、酒鬼薔薇聖斗こと、元少年Aが書いた絶歌を読んで、

なんというか、背筋がゾクゾクするというか、
落ち着かなかった。

 

絶歌

絶歌

 

 

その後、少年Aの父と母が書いた
「少年A」この子を生んで……―父と母悔恨の手記「少年A」この子を生んで……―父と母悔恨の手記

 

「少年A」この子を生んで……―父と母悔恨の手記 (文春文庫)

「少年A」この子を生んで……―父と母悔恨の手記 (文春文庫)

 

 

を、読んでも、なんだか腑に落ちないというか、モヤモヤしている状態。

client-engineer.hatenablog.com


加害者側だけの情報に触れているからなのか?
被害者側も本は無いのか?と探してみて、
その後、被害者の淳君の父(土師 守 氏)が書いた淳、
淳君の父と、ノンフィクションライターの本田信一郎氏の共著、淳それからを読んでみた。

 

淳 (新潮文庫)

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淳 それから

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2冊ともに、絶版となっていた為、
図書館に問い合わせをし、書庫から出してもらって読んだ。

(今は、淳の文庫版が増刷されているようです)

 

淳、淳 それからを読んだら、
少年A、そして、その親御さんに対して、怒りがこみ上げてきた。

淳君は、知的発達障害があり、
ジグソーパズルの様な視覚を活用するものは、得意だが、言語を通してのコミュニケーションが苦手だった。

そのせいもあってか、淳君が少年Aに殺される2年前の
淳君が小学校三年生の時、小学校六年生だった少年Aからいじめられた際、
「○○にやられた」
「○○にイジメられている」
 という訴えをする事が淳君は出来なかった。

又、少年Aの母親は、そのイジメに対して、
「あの子は、六年生になってから仲の良かった友だちとクラスが別々になって、きっと寂しかったんやわ」
と、そんな言い訳ばかりをし、
最後まで、”ごめんね”という謝罪の言葉は口から出なかったとのこと。


声を出せない弱い者イジメをする少年A、
そして、それを、かばう少年Aの親。


親は、常に、自分の子どもの味方でなければならないという考えもあるかも知れないが、いじめられた子の親に対してまで、それを通すのはどうかと考えさせられた。


第一の事件
1997年(平成9年)2月10日 ゴムのショックレスハンマーで、2人の小学生の女児がなぐられた。

第二の事件
3月16日 小学4年生の女児を八角げんのう(金槌の一種)で殴りつけ逃走。
同日、別の小学生3年生の女児の腹部を刃渡り13センチの小刀で刺して2週間の怪我を負わせた

そして、
第三の事件
5月24日 淳君が殺害された。


絶歌の中では、元少年Aは、第三の事件について、
淳君でなければ ならない理由は無かったと書かれているが、

淳君の父、土師 守 氏が導き出した結論は、

<少年Aに疑いも抱かずに、素直についてくる子供がこの地区には『淳』以外に存在したとは思えない。 いつかはAの犠牲になっていたものと考えられる>

 

というもの。

この一文を自ら書かざるを得なかった親の苦しみは、いったいどれ程のものだったか。

遅かれ早かれ、息子は殺されていただろう。
土師氏が、医師という職業にあるとはいえ、その忌まわしい結論を受け止めるのは、通常の精神力では難しいことだったろう。

 


第三事件の後、絶歌、「少年A」この子を生んで……―父と母悔恨の手記「少年A」この子を生んで……―父と母悔恨の手記では、

少年Aの母親が、少年Aが淳君を殺害した事を知らず、
淳君が発見されるまでの間、

淳君の母親が、動揺しているのを心配し、
何度か、淳君の家に訪ね、手伝いをする姿が書かれているのですが、
淳 の中で、土師氏は、

”代わりに買い物をしてあげるといっては、Aさんが何度かうちにうやってきましたが、妻に警察のことを尋ねていったことなども、いまから考えると奇妙な言動でした。なぜ、それまで大した付き合いもなかった私たちのために、自分から進んで買い物の手伝いをしなければならなかったのでしょうか。
 本当に、ただの親切心からだったのでしょうか。”

と、書いている。

Aさん一家からの手紙についても、

”私たち夫婦は、受け取った手紙に一応は目を通しました。
 文面は紋切り型で、いかにも誰かに言われて書いたという感じがしました。私たちはその手紙を見ているだけで不愉快になってしまいました。思わずその場で破り捨ててしまおうかと感じたほどでした。
 後日、女児殺傷事件の被害者宅に届いたという、A少年の両親からの手紙が一部週刊誌上に紹介されていましたが、私が予想したとおり、それは私たちの家に来た手紙と一字一句、同じものでした。違っていたのは、被害に遭った子どもの名前と封筒に書かれた宛名だけでした。”

 とある。

 

淳君の兄は、
償いについて、淳 それからの中で、以下の様に語っている。

 ”そもそも私の考える「償い」は被害者自身、被害者の家族・遺族、加害者、無関係者の4つで大別しています。
 被害者自身にとって、「償い」は被害者が望む全ての事柄を加害者が行うことです。最低でも、犯した罪と同等の苦しみを加害者自身が負うことです。被害者が納得出来なければ「償い」は成立しません。
 被害者の家族・遺族にとっての「償い」は被害者にしてあげられる、できる限りのことだと思います。それは被害者への献身であったり、加害者を訴えることであったりしますが、周囲の人間にとって十分だと思えることでも、おおよその被害者の家族・遺族にとって、「償い」はしてもしきれぬものだと思います。後悔先に立たずというように、事件を未然に防げず、あの時ああしておけばという、悔恨は消えることがないのですから。
 加害者が「償い」を考えることは、取り返しがつく罪であれば、それ相応の報いを受ければいいのでしょうが、取り返しがつかない場合、加害者自身が考える時点で傲慢極まりなく、論外です。
 無関係者の考える「償い」は世間を見たとおりです。
 かなり私見が混じった意見ですが、私の「償い」に対する意識はこういうものです。私自身、まだ、何も償っていません。”


少年法改正と、犯罪被害者等基本法成立に向け、活動をしてきた被害者の土師さんは、

私たち家族が本当に愛していた淳の死を無駄にすることなく、社会がよい方向へと変わっていって欲しいと心より願って止みません。

いま、この願いは、より深くなっています。

 として、淳 それからの末尾に書かれている。


私の様に、好奇心、野次馬根性から、
被害者の事を考えずに、
絶歌を買って、読んでしまった人は、

淳、淳 それからを読んでみることをおすすめします。
(淳、淳 それから をもし、先に、読んでいたら、絶歌は買わなかったと思います)

 

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淳 それから

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淳は、1998年
淳 それからは、2005年に出版された本なのですが、
2冊ともに、古さを感じません。

 

なんというか、

俺、このままじゃいけないなと思いつつ、

生きる勇気をもらいました。